【ビジネスに効くゴルフ】 〜 経営者はなぜゴルフをするのか 賭けゴルフの原理原則について 〜 主食と薬味を取り違えないために
ゴルフにおける賭け、いわゆる“にぎり”は、ゲームを楽しくするスパイスとして、古来より親しまれてきました。
資料として最古の記録は1503年。当時のスコットランド王ジェームズ4世が、家臣に負けて42シリング支払ったというものです。ゴルフという言葉が初めて文献上に登場するのが1452年といいますから、ゴルフはその草創期から“にぎり”と共にあった、と言っても過言ではないかもしれません。
時は下って1600年代の英国。プレーが終わると19番ホール(パブ)に集まって酒を酌み交わすのが習わしとなっていました。その際“にぎり”に勝った人は、そのお金を集金帽子の中に入れ、皆の飲み代にしてチャラにするという文化が生まれました。
さらに時代を経た1960年代の日本。そのころ“にぎり”の隠語は“チョコレート”。実際に多くの場合、チョコレートを賭けていたそうです。
このように、ゴルフの先人達は、賭け事自体が目的とならないように、“にぎり”の原理原則を良い塩梅で定めていたのです。もし、賭博性が強くなりすぎると、ゴルフそのものの面白さを失ったり、人間関係を壊したり、罪悪感が残ったり、品位を損なったりする原因になってしまいます。それを上手にかわしていたというわけです。
さて、私自身は“にぎり”を一切いたしませんが、なさる方はぜひ古の紳士の如く、則を越えずに楽しんでいただければと思います。
例えば、日本において金銭を賭ける“にぎり”は、金額の大小に関わらず法律で認められておりません。許されるのは表彰式のドリンクなど“一時の娯楽に供するもの”に限られています。
それから“ウマ”に関してはより注意が必要です。10年ほど前ですが、たかだか1人1,000〜2,000円程度の賭け金にも関わらず、大手企業が相次いで書類送検の憂き目をみています。重大な企業リスクのひとつとして、認識しておく必要がありそうです。
ビジネスサポートながの 2015年1月号より
文責 古木惣一郎